豹変するMI 触らずして、語れない 洗練された先調子を武器に多くの鮎師の期待に応えるMIシリーズ。 2013年シマノはMIの存在を見つめ直し、未来に向け新たなスタートを切る。 オールマイティーをよしとする風潮に流され、切れ味を失ってはいなかっただろうか。 優しさに鋭さを内包したMI。先調子パワーロッドH2.9も登場。 スパイラルXを筆頭に現代ニーズを満たしながら、その操作性に磨きをかけたMIが新たな入れ掛かりを加速させる。
タイトなオトリ操作を可能にする先調子モデル
シマノ伝統の先調子モデルMIも常に進化を遂げています。今回のモデルは全体的にさらなる先鋭化を施し、先調子度を高めた最新バージョン。「先調子は操作性がいい反面、タメにくい」そんな声を耳にするなかH2.6という硬さは絶妙バランスをロッド全体で実現。先調子でありながらタメやすく、MIの特徴でもあるバットパワーが生きて良型にも対応することができます。初めてMIを手にする方にも非常になじみやすい一竿です。H2.75は「MIらしいMI」と表現できるモデル。MIの捉え方として鮎のサイズで硬さを選ぶ方法がある一方、どこまでテキパキと軽快操作したいか…という視点で選ぶ方法も興味深い選択術。多少強引な操作もお手のモノ。少々風が吹いてもブレずに耐え、サイズ対応力にも富み、オモリ操作も的確に行えます。そして今回新たにH2.9を設定。FW H2.9と通じる部分もあるこの竿は単に良型魚を相手にするためだけでなく、あえて魚に対してオーバーパワー・ロッドを使用することで手返しの速い釣りが可能に。掛けたら速攻で引き抜く。入れ掛かり速度アップには、こんな選択肢もあり。全機種ノーマルとズームモデルをラインナップ。
H2.6 確かにMIである しかしこれはMIではない
●MIの原点を見つめ 過去を全て超えていく
無数の鮎竿が存在するなかで「先調子を見つめなおす」ことがニューMIの開発テーマ。原点回帰ともいえるテーマを単なる原点回帰のままで終わらせることなく推し進め、現代に求められる要素が徹底追求された。 H2.6も例外ではない。そして、禅問答のような問いかけ。「H2.6はMIであってMIではない」。 そもそもMI、ひいてはMIチューニングとはなにか。それは、慣性モーメントに着目することで、先調子ロッドに、さらなる持ち重りのなさと、それに由来する操作性をもたらすチューニングである。しかし近年、オールマイティーであることがひとつの価値となり、MIもそのMIらしさを、ある部分では犠牲にしてきたのではないか。 MIではないMIを求めたH2.6。エッジの利いた操作性があるのに、全体としてしなやかさがある。バットパワーは強烈で、不意の良型にも物怖じしない。こんなMI見たことがない。MIの概念をも変えうるロッドを、先調子がどうにも苦手と言う方にこそ、手にして欲しい。生まれ変わった新シリーズがここにある。
●泳がせ竿ではなく 「オトリ管理に優れた」 スペシャルロッド
過去に捕らわれず、今と、そして未来を見据え生まれ変わった新スペシャル競MI。宮井孝和は新たな特徴をこんなふうに語る。 「MIを手にしたのは初めてなんだけど、その特徴である先調子に違和感なくすんなりなじみましたね。と言うより、むしろ私の得意とする“フロロ水中糸の微妙な極小オバセを利用したオトリの鼻を引かない引き釣り泳がせ”がしやすい竿という感じ。胴調子ロッドと比較すれば、この竿を手にするだけで格段にシャープな竿操作が可能です。 あとは・・・MIは泳がせ用の竿という印象があったのですが、実際に使ってみるとそうではなく常にオトリ管理がしやすい竿=Bもともと先調子なので操作性に優れていますが、オトリ負荷と水中糸の水切れ抵抗が適度な穂先の曲がりを作るのでテンション管理の緩急が付けやすいですね」 神通川の実釣テスト。水深が腰程度の水量あるフィールドでオトリを操る宮井はMI独特の感度を高く評価。「このH2.6、水中糸(フロロ)が水を切る感度や野アユに追われているのが面白いように手に伝わりますね〜。水中糸が水を切る感度が伝わるから微妙な糸フケ調整が非常にラク」。 また、今回のH2.6は「操作性はよいがタメにくい」とされる一般的先調子のウィークポイントをカバーする意味もあってH2.6の張りのある操作性を犠牲にすることなく、野鮎が掛かれば限りなくH2.5に近いしなやかさを発揮することで優れたタメ性能を実現。17〜18pメインで時に20pが掛かるような状況にマッチする一方、ここ一番では23〜24pの良型をも引き抜くパワーを獲得。MIを初めて手にする鮎師にとっても非常になじみやすく、「掛けにいく」先調子ロッドの持ち味とその威力を存分に堪能することができる一竿と呼べるだろう。
H2.75 先端で掛け、胴で獲る これぞまさにMI
●さらなる先鋭化と新たな先調子化
今回、新たなMIの開発において追求されたのがシリーズ全体の「さらなる先鋭化と先調子化」。それはウルトラマッスルカーボンとスパイラルXが生み出す張りとしなやかさのバランスに、この竿特有の個性を見いだすチューニングを施すことでもある。
●どんな場面でも誰が手にしても感じられる扱いやすさ
「誰が使っても扱いやすくて掛けやすい。これが先調子竿のメリット。長いこと、この釣りを楽しみながら色んな川で竿を出し、多くの釣り人と声を交わしてきたけど操作性と野鮎を掛ける性能を突き詰めると、やはりそこに行き着くものがあると思う」 MIを相棒に鮎を楽しむ高松重春が語る先調子ロッドの優位性。9mにも及ぶ鮎竿だけに胴に張りがあってブレがなく、繊細オトリ管理に適した先調子はやはり使用場面を問わず普遍的な威力を発揮する。「先調子で持ち重りのないMIらしさを感じられる胴ブレがないキビキビとした操作性。H2.75はパワーがあるからどんな場面でも掛かり鮎の先手が取れる。操作性のよさと感度の高さで水中のオトリとコンタクトしやすい、常に情報交換しやすいところもこの竿の特徴だね」 今回新たに生まれ変わった3機種の中で「MIらしいMI」と呼ぶにふさわしいH2.75。適度な張りとパワーがあるため多少ラフな操作もお手の物。少々風が吹いたとしても胴ブレすることなく、精度の高いオトリ操作に集中することができる。野鮎対応サイズは20pをメインに24pクラスまでストレスなく対応。H2.6よりワンランク大きな魚の入れ掛かりに真価を発揮する。 ●野鮎サイズではなく「軽快操作」を基準にロッド選択する方法も
ところで多様な鮎竿が混在する現在の鮎釣りシーンにおけるMIの捉え方として、野鮎サイズで竿の硬さや調子を選ぶことが基本といえるものの、少し視点を変えて「どういう釣りがしたいか」というキーワードで選択する方法もまた興味深いセレクト術。MIはバットパワーに優れることも特徴で、高松曰く「サイズを問わないのが魅力」であることから・・・・・・ ◎障害物となる岩や大石ポイントでピンポイントを細かく釣るならハイスピードズームタイプ ◎開けた河川であればノンズームタイプで自身のフットワークで一歩前に出るか戻るかで調整 ◎立ち込み重視なら、魚のサイズよりワンランク硬めを選ぶ ◎軽さ重視なら良型でもH2.6で釣りきる といった選択方法も面白い。
快適な操作性を追求する鮎師のニーズに応えるオールマイティーな先調子=鮎竿におけるひとつの理想形。それがMIというロッドなのである。 H2.9 尺鮎からチビ鮎までフレキシブルMI
●H2.9で先調子?!それは魅力的な選択肢
瀬=胴調子という図式で語られることが多いが、実際のところはどうだろうか?たとえば、同じ硬めの竿を使う場合でも、数が出る天然河川の瀬釣り良型ねらいなどは、やり取りの速度を重視し、曲りで止めて抜くFWやトリプルフォースではなく、硬さで止めて抜くMI調子という選択肢もあり得るはずだ。 いわばこれは入れ掛かりの効率アップ。やり取りに要する時間を最小限にとどめることで「入れ掛かりを加速させる」という考え方であり、従来のセオリーから解放された新たなロッド選びの着眼点になり得る要素といえるだろう。
●尺鮎からチビ鮎まで 荒瀬以外をすべてカバー
今シーズン新登場したH2.9の特徴を三嶋英明はこう語る。 「九頭竜川や狩野川でこの竿を使い28〜30.6pを50匹近く掛けましたが負けた≠ニ感じたことは一度もナシ(笑)。30.3p、30.6p2本の尺鮎まで問題なくオトリに使えました。一般的に考えれば20〜28pに最適な調子。余談ですが穂先が柔らかいので12〜15pのチビ鮎に対応したことも…。H2.9という硬さがありながらも適度なしなやかさでH2.6〜2.75の操作性。オモリとの相性もいい。21〜23pの数釣りを簡単にしてくれますね」 また、感度があるので濁った時の野鮎とのコンタクトも明確にキャッチ可能。掛かる瞬間がわかるので、その後の対応に余裕が生まれる、とも付け加える。 荒瀬以外の場所なら、ほぼ全域をカバーするMI系瀬竿とでもいえるニューアクション。鮎師にまだ知らない世界があることを気付かせてくれる魅力的なロッドの誕生である。 |