だからこそ、これまでもリールには、ボールベアリングを水や異物から守るために数々の工夫が採り入れられてきた。しかし、正直なところ、こうした努力が満足のゆく成果をもたらしたとは言い難い。「リールはいつか塩や異物にやられて自然に回転性能が落ちるもの」と観念していたのが現実である。 だが、常識は破られるためにある。ついにボールベアリングが抱えるこの難題に、ダイワが鮮やかな解答を示した。それが、マグシールドボールベアリングである。マグシールドとは、磁性流体「マグオイル」の強固な膜により外部からの水・異物の侵入をブロックするダイワ独自のテクノロジーだ。この先進技術が、いよいよリールの核心部であるボールベアリングに搭載される。そのインパクトは、マグシールド登場時を凌駕するものとなるに違いない。 「ボールベアリングを徹底して防水化する」。この長年の構想が実現するまでの道のりは、平坦なものではなかった。大きなハードルとなったのは、磁性流体を留めるための磁石という素材を扱うことの難しさ。小指の先ほどの直径しかないベアリングの内部には小さな磁石しか収まらない。だが、小さければ磁力は弱くなり、磁石自体ももろくなる。開発陣は、磁石の形状や極板との位置関係を徹底的に検討。数え切れない試作を重ねた末に、ついにボールベアリングのマグシールド化に成功した。この完成したマグシールドボールベアリングは、開発陣も驚嘆するポテンシャルを備えていた。社内の過酷な試験を重ねても、回転の滑らかさは試験前とほとんど変わらなかったのである。 
「ボールベアリングの初期性能が長期間維持され、本来の寿命を全うすることができる」 |