グランドスリムを進化させるDAIWA TECHNOLOGY
■7本継がすべてを変える今回のグランドスリムを開発するためのテクノロジーで、最大の意識改革はロッドの継数を減らす、つまり7本継の採用にあった。それは「粘り」と「感度」、そして『SMTチューブラー』を搭載してもなお、余裕のある「軽さ」を、かつてないレベルにまで引き上げるためである。このロッドの特徴である肉厚ブランクスを生かしつつ、全体を軽く仕上げるベストの方法なのだ。一方で継数を減らす弊害もある。元竿の長さ、つまり仕舞寸法を全く気にせず設計が出来れば問題は無いのだが、携行性だけでなく節の伸縮に違和感を与えない長さで設計すると、当然、先端部も相当長く設計しないと全長が確保できない。つまり、先短設計、Vコブシが出来ないという事になる。7本継の恩恵は大きいが、操作性と感度の低下は、絶対に許されない。これが解決しなければ、7本継採用はない。 ■節の間に節を作る 『チャージリング』とは、特殊なカーボンシートのバンドをブランクに巻き付けて“仮の節”を設ける構造。竹を想像して頂ければ分かりやすいが、これで自重を大きく変えずに「曲がりのアクセント」を生む。現にこの『チャージリング』はもともと長尺へら竿の軽量化とパワーアップの両立を狙って開発されたものだが、“節の間に節を作る”発想は、先端部まで長くなる7本継に先短設計、つまりVコブシに近い効果をもたらしてくれる。逆にロッド全長と継数のバランスが合えばチャージリングの必要性はなくなってくる(※95モデルのみ8本継のVコブシ設計)。しかし、これで全てが解決した訳ではない。 『ESS』のおかげで、バンドの長さや位置、そして個数などある程度絞り込めたが、やはりいくつものトライ&エラーが必要であった。グランドスリムの良さは、その適応力の広さであり、ありとあらゆる状況を想定し、日本全国の河川を長期に渡ってテストする必要があったからだ。掛けた鮎の数は、監修する全テスターと開発スタッフを合わせて悠に1万尾は下らないであろう。
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